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〜 マイクの特性 〜

 第二回はマイクの特性についてである。
 アマチュアが、プロと最も区別されやすいポイントの一つに「音声」の管理がある。
 私もあまり人のことは言えないのだが、アマチュアはとかく映像に捕らわれがちで、音声には気を遣うことが少ない。新しいビデオカメラを購入する際、カメラ用のアクセサリを購入することはあってもマイクを購入する人は比較的少ないと思う。
 もちろん必ずマイクを持っていないとだめ!というわけではない。例えば庭先や野の花々をクローズアップなどで撮って、編集で繋ぐだけなら現地の音はさほど重要でなく、むしろ編集時に入れるBGMで頭を悩ませた方が趣旨には適っているのだから。
 しかし、インタビューやライブ撮影、ドラマ撮影は勿論のこと、最も一般的であろう旅行撮影でもやはりマイクはあった方がよい。
 今回は、マイクの概要と状況に応じたマイクの選び方を紹介していきたいと思う。

 マイクの役割と言えば当然音声収録だが、そのマイクにもいくつかの種類がある。
 分け方はいろいろあるのだが、大きな分け方としては「指向性」と「発電方式」とで分けられるのではないだろうか?
 「発電方式」は大きく二つに分けられる。ダイナミックマイクロホンとコンデンサーマイクロホンである。これについては今回は細かくは触れない。これらは更に細かく分けられるのだが、それぞれ収録場所や対象となる音源に合わせて選択する必要がある。なお、コンデンサーマイクロホンは品質の高い音を収録できるのだが、高価でまた取り扱いも難しい。そのためそれなりの知識と技術が必要なので、一般に見かけるマイクは大抵はダイナミックマイクロホンである。

 さて今回メインとするのはもう一つの枠組みである「指向性」についてだ。
 人間の耳は雑音の中でも必要とする音を選択して聞くことができる。たとえば、パーティー会場でビデオ撮影をして家に帰って再生してみると、会場では良く聞こえていたあの人の声が、テレビからでは他の雑音に紛れて聞き取るのが大変…なんて経験はないだろうか?(これを「カクテルパーティー効果」と言う)
 会場では、自分の耳が聞きたい音源を選択して聞いていたのだが、カメラのマイクは無差別に周囲の音を拾うために、目的の音が埋もれてしまうのである。
 そこで、そのマイクに特定の方向の音声だけを選択して収録できるような方向性を持たせたのが「指向性」である。
 「指向性」は@無指向・A単一指向・B双指向の大きく三つに分けられる。
 単一指向マイクはさらにカーディオイド、スーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイド、ウルトラカーディオイドなどと分けられ、ウルトラカーディオイドを俗にガンマイクや鋭指向性(超指向性)などと呼ぶこともある。
 アマチュアが日頃使い分ける上では、無指向性・単指向性・鋭指向性の三つを念頭に置いておけば十分である。ちなみにカーディオイドとは「心臓の形」のことである。

<マイクの特性パターン>

 無指向性マイクは、主にインタビューなどで使われる。無指向マイクは全ての方向に対して感度を等しく持つので、マイクが多少口元からずれていても音声を収録してくれる。エンジニアではないレポーターが、マイクの先端方向を気にせずにレポートやインタビューが続けられるし、記者会見で会見者が多少左右に動いたとしても、マイクは据え置いたままで音声をフォローできる。しかしながら、その分関係のない周辺の音も入りやすいので、混雑した場所での使用にはあまり適さない。逆にそういった雰囲気を音響として加えたい場合は最適ともなるので状況と目的次第である。
 代表的なマイクはSHUREの SM63L である。記者会見やインタビューなどでは必ず見かける業界の御用達の無指向性マイクである。

<インタビューマイクの定番“SM63L”>

 単一指向性マイクは、マイクの正面方向が最も感度が高くなっておりその他の方向からの音を拾いにくい。しっかりと音源方向を把握した収録の時は、周囲の音を比較的カットできるのでインタビューなどでも使えるが、最も多く使われる現場はナレーション収録や楽器の収録である。ナレーション収録やボーカルマイクとして身近なマイクはこれもまたSHUREの SM58 であろう。また、楽器収録は楽器の特性に合わせてそれぞれマイクを選んでいく必要があり、これはかなり大変な仕事である。SHUREの SM57 をはじめSENNHEISER、Neumann、AKGなど山のような数が揃っている。
 マイクの選択の中で最も難しいのがこの単一指向マイクではないだろうか。
 なお、カラオケマイクもこの単一指向性マイクに分類される。

<アナウンス収録での“SM58”
あまり正しい使われ方だとは思えないが…>

 そして、鋭指向性マイクである。先述からも解るように広義の単一指向性マイクであるが、使用用途が明確に分かれている点から、特に鋭指向(超指向)マイクと呼びたい。
 このマイクは、時々テレビ番組の屋外ロケなどで画面に見切れる毛虫のような入れ物に入っているマイクである。このマイクは前方に鋭く狭い感度を持ち、その方向にある音声のみを収録できる。そのため雑踏の中でも被写体の音声を確実に雑音から選り分けて収録できるのである。そのかわりに、マイクの先端が明後日の方向を向いていると、お情け程度にも目的の音声は収録されないので細心の注意が必要である。
 また、音源の雰囲気や音色などをスポイルしてしまう傾向にあるので、楽器の収録などには向かない。そのような特性も知っておくべきである。

 この様に実際は、その用途に応じてマイクは選択されるべきであり、カメラに内蔵されているマイクで全て事を済まそうとするのは、かなり大着である…ということが容易に結論付けられる。もし、カメラ内蔵のマイクだけで事が済むならば、この世界に「音声さん」という役職も求人も無いはずである。

<一般的なビデオカメラの内蔵マイク>

 カメラ内蔵のマイクは、基本的には収録の失敗が無く(とりあえず音は録れている)、扱いが簡単…と言う点では優れているが、デッキ部のノイズを拾いやすい、操作のタッチノイズが入りやすい、カメラをパンさせると音の定位が変わるので音声レベルが変動する…などと、音を中心に見た場合、良い点は少ない…。

 良いカメラと、良い編集機を持っているのならば、是非とも良いマイクも持ってもらいたい。
 今回は簡単な音声収録の予備講座みたいな形になったが、音声収録も勉強しはじめると底なし沼のように深い魅力を持っている。そのほんの入り口を確認できているだけでも、他の作品とは大きな差が生まれるのではないだろうか。


今回紹介したマイクメーカー
AKG: http://www.akg-acoustics.com/
SHURE: http://www.shure.com/
Neumann: http://www.neumann.com/welcome.php
SENNHEISERUSA: http://www.sennheiserusa.com/
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